ひょんなことから手に入れることが出来たエレキベースを自転車に乗せて自宅に帰ったはいいが、ハードケースが大きくどうやって部屋の中に運ぶかが問題となった。なにせ売ってくれた奴のお母さんには絶対内緒の約束。当然のことながら自分の母親にも内緒にしておかなければならない。
とりあえず庭先に隠し何事も無かったように家に入り、家族が寝静まった頃を見計らってこっそりと自分の部屋にベースを運び込んだ。
そして大きな長方形のハードケースの鍵を開け感動の対面となった。
真っ黒なボディに白のピックガードのグレコのリッケンバッカーベースは、長く太いネックに4本の太い弦とそれを結ぶ大きなマシンヘッドがついていて、トラストロッドが2本だったりジャックも2つついていたりとエレキギターの風貌とは全く違う存在感にただただ圧倒されてしまった。
そして手に取ってみるとネックの長さとヘッドの重さで楽器を上手く支えきれない。チューニングも初めての低音楽器で勝手がわからずメロメロの状態でこっそりと弾いてみたと思う(苦笑)。
アンプを通さない生音は、ちょっとつまったようなしょぼくて期待はずれの低い音だったと記憶している。よくあるボンボンという表現があてはまるあの音。それでも嬉しくて弾いては眺め、弾いては眺めを繰り返して、ベースをケースに戻しベッドの下に隠し、ちょっとだけ大人びた気分で布団に入ったんだと思う。
次の日、学校で石ちゃんとイナ君に報告。学校から帰ってからラーメン屋の石ちゃんの家に集合ということになった。
ベースのことは親には内緒と言っておきながら、馬鹿でかい黒のハードケースを持って中学生の小僧がヨタヨタ歩いているわけで、今考えると相当目立ってたはず(汗)。 おまけに石ちゃんの家に行くまでには親のいる店の前を通っていくわけだからバレバレだったんだろうな。。
そんなこんなで石ちゃんの家に着いてみんなで練習することに。リッケンベースを見せただけでみんな大興奮。早速石ちゃんの家に置きっぱなしにしてあったローランドのキューブ40にシールドを差してピックで弦を弾いてみた。図太い低音がラーメン屋の奥の部屋中に響きわたる。石ちゃんもイナ君もはじけまくって、俺にも弾かせろ、俺にも弾かせろということになった。夕方までそんな感じで1台のアンプにギターとベースを2本つないで3人で遊んでいたんだんだと思う。
自分の中で日本で1番エレキギターの上手い中学生と思ってた石ちゃん。そしてフォークギターと歌が上手で、ついでに足も速く女の子にも人気のあるイナ君。そんな2人にほんの少しだけ優越感に浸ることが出来た日だったんじゃないかと思う。
そんな中、我々3人が文化祭でエレキを弾くというのが学校で問題になりつつあった。
イナ君の担任の先生は大丈夫だよと言っていたので気にも留めていなかったが(ちなみに自分とイナ君と石ちゃんとは別々のクラスだった)、どうも他の先生から如何なものかと言うクレームが入ったようである。
というのも、1年前の文化祭で我々の1つ上の先輩がエレキギターを弾いて一部の保護者から文句がでたということがあった。そのこと自体は結果オーライと言うことになったんだけれども、2年続けてエレキは如何なものかとというそんな内容だったと思う。ついでに言えば自分達もその先輩に影響されて文化祭にでると言っていたと思う。
そういった理由で、我々3人がそれぞれの担任に呼びだしをくらい、どんな演奏をするのか、どんな楽器を使うのかということになった。そして、とりあえず学校に自分達の楽器持ってきて見せてみろということになってしまった。
石ちゃんは白黒のベックモデルのストラト、イナ君はヤマハのフォークギター、自分は黒のリッケンベースを学校に持っていくことになった。
それでは長くなったのでまた次回(^^;
2010年09月04日
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