ナットは指板のヘッド側に端に付いている写真のパーツです。

ナットには大きく3つのトラブルがあります。
弦の間隔が均等でない事、溝の深さが適正でない事、溝の幅が弦に合ってない事。
このどれかに不具合がある場合に調整や交換が必要になります。
ナットは消耗品ですので、楽器を使用していれば必ず交換の時期がきます。
ナットの状態が正常かどうかチェックをする時には必ずネックの状態が正常な状態にして確認します。
ネックが正常ではないとナット溝の深さが正常かどうか正確に確かめる事は出来ません。つまりネックの状態によって位置関係が変わってきます。その為にフレット摺り合わせをした時にもナットの調整も同時に必要な作業となります。
通常リペア工房ではフレット摺り合わせをした後にはナットの調整も同時に行います。
最初の弦の間隔の不具合ですが、こちらは交換しないと解決しません。
ただ、プレーに支障が無い程度でしたらそのまま使っていても大きな問題はないので、消耗した時に交換しても問題はないです。
弦の間隔も弦の頂点を均一にすると1弦より6弦の方が弦が太い為に1,2弦の隙間と5,6弦の隙間では5,6弦の方が狭い為に5,6弦の方が狭く見えてしまうし、その隙間を均一にすると5,6弦が頂点で比べた時に離れて見えてしまうので、そのどちらの比べ方の中間位で作業をしています。
この辺は各工房や作業者でバラツキはあると思います。
溝の深さは溝が深すぎると解放弦でビリ付きやひどい時には1フレットを押さえた時と同じ音程の音が出ます。
溝の深さが浅いと1フレットやその付近(ローポジション)の弦高が高く感じ押さえにくく、音程もシャープします。
深い時にはナットを交換しないと改善しません。
浅い時にはナット溝の調整で改善する事ができます。
また、当工房では弦高がローアクション(弦高が極端に低いセッティング)の時と通常の弦高の楽器ではナットの溝の深さ(高さ)を変えています。ローアクションの楽器はギリギリまでナットの深さも低くセッティングしています。
ナットの溝の幅が合っていない場合は
溝が弦より広いと溝の中で弦が動いてしまい解放弦でビリついた音がします。
こちらは溝の深さに調整する余裕が残っていれば調整で治りますが、そうでない場合は交換が必要です。
逆に溝が弦より狭い場合はチューニングが安定しません。
チョーキングすると直ぐにチューニングが狂ってしまう場合はナットの溝が狭い事が多いです。
お客さんでペグ交換が必要だと楽器を持って来てナット交換で解決する事が多く発生しています。こちらは少しきつい位でしたら調整で済む事もあります。
使用弦のゲージを変えてチューニングの安定感が変わった時はナットの調整をした方が良いと思います。
今回はロックナットやローラーナットに付いては触れていませんが、またの機会に取り上げてみようかと思います。
野平工房のナット交換工賃は税抜き¥6.000〜ナット溝調整は¥3.000です。(タイプによって金額が異なりますので、ご相談ください。)